夕光の畑

冬を越えた畑に、やわらかな夕の光が差している。
霜にふれながらも、小さな芽はいのちをつないできた。

土の匂いに包まれると、重ねてきた歳月が静かに重なる。
多くはない収穫も、掌にのせれば、たしかな重みがある。

大根は思うほど太らなかったが、葉は空を向いている。
その姿に、自分を重ねる。

春菊やほうれん草はやわらかく育ち、食卓にのぼる。
湯気の向こうに伴侶の気配、遠い家族の笑顔が浮かぶ。

土の恵みは、人をつなぐ。

にんにくはまだ土の中で初夏を待つ。
私の時間もまた、ゆるやかに夕暮れへ向かうのだろう。

それでも、土にふれていると、急がなくてよいと思える。
このぬくもりが、そっと受けとめてくれる。    令和8年4月初旬


Posted

in

by

Tags:

Comments

コメントを残す